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「施し」ではなく「働いて自立を」──熊本福祉会との出会いから

  • 6月5日
  • 読了時間: 6分

「『施し』ではなく『働いて自立を』。」


これは2026年5月から農福連携の実証を始めたNPO法人熊本福祉会(奥野靖夫理事長)の現場でいただいた言葉です。同会は熊本県農福連携協議会の会長団体であり、ノウフク・アワード2024準グランプリ受賞団体。「障がい者の方々を支援される対象としてだけ見るのではなく、社会に貢献できる仕事の担い手として迎えたい」という強い思いを、組織として共有されています。


私たち株式会社オーケープランニング(熊本市南区)は、組合せハカリ「テーブルコンビ」の開発・製造・販売を通じて、その思いに応える具体的な仕組みを提供したいと考えました。本記事では、その仕組みと、現場ですでに見えはじめている成果をご紹介します。


なぜ今、農福連携か

就労継続支援B型事業所の利用者の全国平均月額工賃は、約23,053円(令和5年度・厚生労働省)。年収換算でも30万円に届かない水準で、「働いて自立する」には十分とは言えません。

一方で、農業現場は深刻な人手不足に直面しています。収穫時期になればパック詰めに追われ、家族と過ごす時間も削られる。生産者からは「収穫の時期は夜なべして子どもの顔を見られない」という声が長年寄せられてきました。

このふたつの課題、実は「計量作業」という共通動作で同時に解決できると私たちは考えています。


計量を「ゲーム」に変えるーーテーブルコンビのしくみ

スーパーなどに並ぶ野菜は、決められた重量(例:トマト400g、玉ねぎ1kg等)にパック詰めされています。形や重さがバラバラな農産物を目標重量に揃える作業は、実は高度な熟練を要します。一個ずつの重さを判断しながら最適な組み合わせを見つける作業は、ベテランと新人で速度に最大10倍以上の差が出ることもあります。

この熟練の壁が、新人パートや障がい者の戦力化を阻んできました。

組合せハカリ「テーブルコンビ」は、この難しさを根本から解決します。


1. 12個の計量皿にバラバラの重さの野菜を載せる

2. AIが目標重量に最も近い最適な組み合わせを瞬時に計算

3. 正解の皿のLEDが光る

4. 作業者は光った皿の野菜を取り出すだけ


「考える作業」が「直感的に動く作業」に変わります。新人でも、障がいのある方でも、初日からベテラン並みの精度・速度で計量できる──これが本質的な価値です。

「考える作業」が「直感的に動く作業」に変わります。

新人でも、障がいのある方でも、初日からベテラン並みの精度・速度で計量できる──これがテーブルコンビの本質的な価値です。


弊社は2012年の開発以来、全国累計500台超の納入実績を持ち、国内7件+台湾の特許で技術を守っています。農林水産省「スマート農業技術カタログ」掲載技術として、熊本県工業大賞2回(第20回・第26回)、熊本市ものづくり大賞、DEEP VALLEY Agritech Award 2回、静岡県菊川市ビジネスコンテストなど受賞多数。すでに全国30か所以上の障がい者就労支援事業所で活用されており、利用者・職員のべ約150〜300名の方が日々この機器を使って計量作業に取り組んでいます(2026年時点、自社調べ)。


熊本福祉会の現場で起きていること

2026年5月から、NPO法人熊本福祉会にテーブルコンビのデモ機を無償貸与し、実証を開始しました。早くも成果が現れています。


- 玉ねぎ計量包装:3倍速

- ミニトマト計量包装:2倍速

- 作業終了時刻:16:00 → 15:00(1時間短縮)


そして、現場のスタッフからは次のような声をいただきました(2026年5月、ヒアリング)。

・「ゲーム感覚で楽しく計量できている。」

・「作業時間が1時間早くなったことで、就労支援を手厚くすることができた。」

・「(テーブルコンビがあれば)仕事を増やすことができる。」

3つ目の声がとくに重要です。計量がボトルネックではなくなれば、就労支援施設は外部から請け負える仕事の量を増やせる。仕事が増えれば、利用者の工賃を上げる原資が生まれる。「現場に余裕が生まれる」ことが、工賃向上の前提条件なのです。

そして2つ目の声──時短で生まれた1時間を、利用者一人ひとりに丁寧に向き合う支援の時間に充てることができる。これは単に「速くなった」以上の価値を持っています。


ふしちゃん、野菜くらぶ ── 他現場での実証も

茨城県・㈱ふしちゃん連携B型事業所では、利用者の時給換算が約960円に到達(2025年実績、自社調べ)。運用は、9:30〜15:30に障がい者がパック詰めを担い、社員は収穫・管理業務に専念。15:30以降に社員が引き継ぐ体制で、障がい者の計量速度は従来の手作業10〜50回/時から180〜240回/時へと飛躍しました。


静岡県・㈱野菜くらぶ静岡集出荷場では、2026年2月に1週間の実証稼働を実施。大玉トマト(400g/800g)のパック詰めで、100パックあたりの人件費を約26%カット(パック単価35円→26円)、計2,500パックの作業で90円/100パックのコスト削減を実現しました。この取り組みが静岡県菊川市ビジネスコンテストでの受賞にもつながりました。


三方良しのモデルが生まれている


このモデルは、関わるすべての人にとってメリットがある「三方良し」の構造を持っています。

・障がい者→ 工賃UP、自立への一歩、社会参加の実感

・生産者→ 売上UP、B品も収益化、フードロス削減

・就労支援施設→施設内作業が成立、利用者の戦力化、支援時間の確保

・自治体→農福連携の実績、地域経済の循環、ブランディング向上

・支援者(CF)→社会貢献の実感、旬の野菜のリターン

国も同じ方向を向いています。

農林水産省「農福連携等推進ビジョン(2024年改訂版)」では、2030年度までに取組主体数12,000件以上を目標として掲げています。

本活動は国の方針と完全に整合し、1事業所=1モデルとして全国の取組主体数を着実に積み上げます。


1年で10施設、3年で全国50施設へ


私たちは現在、熊本福祉会との実証を起点に、加速度的な展開を目指しています。

- 2026年(現在):熊本福祉会等3拠点で実証中

- 2027年(1年後):県内10施設・利用者約100名/地域所得増 約1,350万円/年

- 2029年(3年後):全国50施設・利用者約500名/地域所得増 約6,800万円/年


連携体制も整いつつあります。

熊本県農福連携協議会の正会員(奥野会長推薦)として加入し、全国農福連携協議会内での本モデル拡散の承諾も獲得済み。

学校法人東海大学 産学連携センター ASOには研究的支援、㈱ふしちゃんや㈱野菜くらぶには現場運用ノウハウの提供と、オールジャパンの協力ネットワークが形成されています。


「働いて自立できる現場」を、誰一人取り残されない形で広げる


「施し」ではなく「働いて自立を」。


私たちが目指すのは、テーブルコンビという技術を通じて、障がいの有無にかかわらず誰もがベテラン並みに働ける現場を全国に広げること。そして、その先に、月額工賃の倍増、農業現場の人手不足解消、規格外野菜の活用、地域農業の活性化──多方面の社会課題が同時に解決される未来です。


私たちの挑戦に関心を持ってくださった事業所様、農業法人様、自治体様、ぜひ一度ご相談ください。1事業所での導入も、地域全体での展開協議も、お気軽にお声がけいただければ幸いです。


お問い合わせ

株式会社オーケープランニング

代表取締役 波多江 満(はたえ・みつる)

TEL:096-273-9715



 
 
 

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